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2016/04/27(水) 取締役会、理事会の開催頻度 司法書士 立花 宏
 取締役会を設置している株式会社において、取締役会は最低、年何回、開催する必要があるでしょうか。
 会社法第363条第2項に、「前項各号に掲げる取締役(筆者注 業務執行取締役)は、3箇月に1回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない」と規定されており、3箇月に1回以上、取締役会を開催する必要があることになります。
 3箇月に1回ですから、4半期に1回、計4回、開催すれば足りるように思います。
 たとえば、毎年、5月1日、8月1日、11月1日、2月1日と開催すれば、法律上の要求は満たしていることになります。

 では、上記のケースで、2月1日に開催する予定でしたが、会社の事業の都合で、2月2日に開催することになった場合はどうでしょうか。
 4半期に1回と考えれば問題ないように思えますが、はたして、法律の規定にある、3箇月に1回という要求を満たしているでしょうか。

 前記会社法第363条第2項のいう3箇月に1回とは、「報告から次の報告までに3箇月を超えてはならないものであり、4半期ごとに1回取締役会を開催すればよいことを意味するのではない(注1)」のだそうです。
 そうすると、前記のケースで2月2日に開催した場合は、11月1日から2月2日までの間が3箇月を超えることになるので、法律上の要求を満たさないことになります。

 たとえば、取締役の任期満了に伴う改選手続があるような年には、定時株主総会の招集の決定(会社法第298条)や計算書類の承認(会社法第437条)のために取締役会を開催し、定時株主総会後、代表取締役の選定のために、取締役会を開催する必要があります。
 それだけで2回開催する必要があり(注2)、通常は、年4回では法律上の要求をみなさないことになるでしょう。

 これは、一般社団法人でも同じことで、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下、「法人法」という。)第91条第2項本文で、「前項各号に掲げる理事(筆者注 業務執行理事)は、3箇月に1回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない」とされています。

 なお、法人法第91条2項にはただし書きがあり、「定款で事業年度に4箇月を超える間隔で2回以上その報告をしなければならない旨を定めた場合は、この限りでない。」という規定があります。
 定款に以上の規定を設けた場合は、最低年2回開催すればよいということになります。

 ただし、この場合も、理事の任期満了による改選手続があるような年は、年2回では足りないということになります。
 定時社員総会を開催するには、招集の決定(法人法38条)や計算書類の承認(法人法第124条)のために理事会を開催しなければならず、定時社員総会後、代表理事を選定するために理事会を開催する必要があります。招集の決定の理事会から代表理事の選定のための理事会まで、4箇月を超える間隔があることはあまりないでしょうから、その2回では法律上の要求を満たさないことになります。この場合は年2回開催では足りないということになります。

 大規模な一般社団法人では、かなりの人数の理事を選任しているケースがあります。
 全国的な組織の場合は、理事が何度も会議に出席するのが難しい場合もあるでしょう。
 そのような大規模な法人では、どのように対応しているのでしょうか。


注1) 東京弁護士会会社法部編「新・取締役会ガイドライン」商事法務 48頁
注2) 定時株主総会の招集の決定をする取締役会で代表取締役を選定するようなケースを除く。


2016/03/31(木) 発行済みの株式の一部の種類の変更 司法書士 立花 宏
 種類株式発行会社である株式会社で、ある種類の株式の一部を他の種類の株式とすることがあります。
この場合に必要な手続は以下のものとされています。

ア 株式の内容の変更に応ずる個々の株主と会社との合意
イ 株式の内容の変更に応ずる株主と同一種類に属する他の株主全員の同意
ウ その他の種類株式(損害を受けるおそれのあるもの)の種類株主総会の特別決議
(松井信憲著「商業登記ハンドブック第3版」249頁より)

このうち、アとイについて考えてみます。
 普通株式と配当優先株式を発行する種類株式発行会社とします。
 現在は普通株式のみ発行しているものとし、配当優先株式は発行していないものとします。株主はA、B、Cの3名のみです。

 この会社で、Cの所有する株式を配当優先株式に変更しようとする場合、どのような手続が必要でしょうか。
 前述の説明によると、以下のとおりとなります。
 ア 会社とCの合意
 イ AとBの同意

では、同じ会社で、Cのみでなく、Bの所有する株式も同時に配当優先株式に変更しようとする場合はどうでしょう。
 ア 会社とB、Cの合意
 イ Aの同意
で足りるでしょうか。

 Bの普通株式を配当優先株式に変更するためのCの同意は不要でしょうか。また、Cの普通株式を配当優先株式に変更するためのBの同意は不要でしょうか。
 Bの普通株式もCの普通株式も同時に配当優先株式に変更されるのですから、互いに利害関係はなく、普通株式の株主としての同意は不要なようにも思えます。
 一方、Bの普通株式を配当優先株式に変更する行為とCの普通株式を配当優先株式に変更する行為の効力が生ずるまでは、それぞれ普通株主であり、また、Bの普通株式を配当優先株式に変更する行為とCの普通株式を配当優先株式に変更する行為を、それぞれ別の行為であると考えると、それぞれの行為について、Aに加え、C、Bの同意も必要に思えます。

 通常は、B及びCの普通株式を同時に配当優先株式に変更する場合、別々の行為とは考えていないでしょうし、株主全員が一括して同意及び合意をすると思いますので、あまり意識しなくてもよいのかもしれません。

 なお、持分会社では、総社員の同意が退社事由とされていますが(会社法607条1項2号)、合資会社の社員数名が同時退社の申出をした場合には、退社申出者ごとに、その者を除く他のすべての社員の同意がなければ、総社員の同意があったとはいえないとする判例(最判昭和40年11月11日)があるようです。
 もっとも、これについては、「退社後も会社債務について一定の責任(略)を負わねばならない各退社員としては、自己と同時に退社するものが誰であるか、逆にいえばいかなる者が残留して、会社の企業維持にあたることになるかについて、具体的な利害関係を有する」といった理由もあったようですから、単純にこれと比較することはできないのかもしれません。

【参考文献】
 商業登記ハンドブック第3版(商事法務)
 会社法判例インデックス(商事法務)


2016/02/29(月) 印鑑証明書  司法書士 立花 宏
 不動産登記や商業・法人登記の申請代理を行う司法書士という職業柄、「印鑑登録証明書」を目にすることが多いのですが、お恥ずかしながら、その書類について、あまりよく調べたことがありませんでした。
 ふとしたこときっかけで、「印鑑登録証明書」とはなんだろうと思い、調べてみました。

 この「印鑑登録証明書」、とくに法律に基づくものではないそうです。
 市区町村の固有の事務として、条例や規則、要領などに基づいて行われており、その条例等は、昭和49年2月1日付自治振第10号自治省行政局振興課長通知「印鑑登録証明事務処理要領」(その後、何度か改正あり)に基づいているようです。よって、市区町村ごとに若干の違いはあるかもしれませんが、基本的に同様の事務が行われているはずです。

 登録できる印鑑は一人一個に限られ、また、いろいろな制約があり、当然、大量生産され、同じ印影が複数あるようなものは登録できません。また、住民基本台帳に登録されている氏名や氏又は名の組み合わせによる印鑑でないものは登録できないといったものもあります。
 私の名前は「立花宏」ですが、たとえば、「徳川家康」と彫刻された印鑑で印鑑登録をすることはできないわけです。
 婚姻等により氏を変更した場合にも問題が生じます。仕事上は旧姓を使用するといったこともありますが、住民基本台帳上の名前は変更されますので、印鑑登録については、あらためて登録し直す必要が生じます(旧印鑑登録は当然に失効するようです)。

 印鑑の登録及び登録された印鑑登録証明書の交付申請は、本人(代理人を含む)に限って行うことができます。したがって、実印とその印鑑登録証明書を所持する者は本人であるとの推定を受け、また実印を押した文書にこの印鑑登録証明書を添付することにより、その文書が本人の意思により真正に成立したものであることを担保することになります(「最新 行政証明の実務と参考様式集」日本加除出版株式会社371頁)。

 民事訴訟法228条4項には、「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」という規定があります。
 ここにいう押印は、名義人専用の印章であれば、三文判でもよいようです。

 もし押印された印影が印鑑登録証明書の印影と同一であれば、その文書が真正に成立した可能性は非常に高いといえるでしょう。

 不動産登記では、利益相反取引の承認、商業・法人登記では、代表取締役の選定に係る取締役会議事録等に、出席取締役及び監査役が記名押印(印鑑登録の印)し、印鑑登録証明書の添付が求められることがあります。

 出席役員が出席役員として押印した印鑑の印影が印鑑登録証明書の印影と同じであれば、印鑑登録をした実在する自然人が役員として押印したとの推定が働き、取締役会議事録という文書成立の真正が担保されるということでしょう。

 株式会社の登記でも、たとえば、取締役(取締役会設置会社の場合は代表取締役)の就任の登記申請をする場合にも、就任承諾書に印鑑登録した印鑑を押印し、印鑑登録証明書の添付が求められます(商業登記規則61条2項及び3項)。
 印鑑登録証明書により、本人の実在性(住民基本台帳に登録されている自然人であることの確認)を担保し、登録されている印鑑で就任承諾書(議事録を就任承諾書に援用する場合にはその議事録)に押印することにより、実在する自然人が就任することを担保していることになります。

 なお、登記実務上、前記の扱いにより印鑑証明書を添付する場合にも、取締役の就任承諾書には、記名(署名)押印だけでなく、就任する役員の住所の記載も必要と扱われています。
氏名と印影だけでなく、住所もあわせ、就任した自然人と印鑑登録している自然人が同一であるという本人確認をしているのでしょう。
 前述の取締役会議事録等では、住所の記載までは不要ですので、より厳格な扱いといえると思います。



2016/01/29(金) 累積投票制度  司法書士 立花 宏
「取締役の選任決議は、累積投票によらないものとする」

 多くの株式会社の定款に、このような規定が設けられているのではないかと思います。
 これまで、あまり意識していなかったのですが、この規定はどのような意味や背景があるだろうかと気になり、その歴史を調べてみました。

 この累積投票という制度が設けられたのは昭和25年の商法改正だそうです。
 この商法改正は、GHQのもとで、経済民主化に関連して行われたものといわれています(その目的に財閥解体も含まれていたようです)。

 この改正では、株主総会の権限を縮小し、業務執行の意思決定を行う機関として、取締役会を設置しました。この取締役会が取締役の業務執行の監査機能を持つため、監査役の権限を会計に関するものに限定するといった改正等も行われています。

 株主総会の権限が縮小されることになりましたが、株主の地位の強化も行われました。
 これも経済民主化の一環で、会社運営の民主化のためだとされています。
 累積投票制度は、この会社運営の民主化を目的として、一般株主の地位を強化するための方策として、アメリカ法に倣って導入されたのだそうです(当時の商法256条の3)。
 比例代表的思想に基づき、少数派株主もその代表者を取締役として株式会社に送り込むことができるようにということのようです。

 当初も、現在と同じように、累積投票制度は定款で排除することは可能でしたが、定款で累積投票を排除しても、発行済株式の総数の4分の1以上にあたる株式を有する株主は、取締役の選任を累積投票とするよう請求することができました(当時の商法256条の4)。

 しかし、経営の安定化や、資本自由化により外国人株主がその代表者を取締役として株式会社に送り込もうとするのではないかという危惧から、昭和49年の商法改正で、定款で累積投票を全面的に排除できるようになりました。
 そして、この制度が今日まで引き継がれてきています。

 昭和49年の改正当時は、資本自由化の到来とともに、外国資本による買収が危惧され、それを防ぐために会社が相互に株式を持ち合って安定株主となる等の経営政策も行われたようです。

 会社に関する法律のひとつひとつの規定が、経済や産業政策、会社の経営政策と密接に関係があるのだと、あらためて意識させられました。


2015/12/28(月) 代表取締役の印鑑証明書 司法書士 立花 宏
 最近、会社の代表者の印鑑証明書を見ていて、気になっている点があります。
 印鑑証明書の商号の記載の上に、会社法人等番号が記載されていることです。
 今年10月5日の商業登記法関係の改正により、会社法人等番号が登記事項になった影響だと思います。
 ところで、印鑑証明書に会社法人等番号の記載があることに、異論があるわけではないのですが、記載する根拠は何なのでしょうか。

 印鑑証明書の記載事項は、商業登記規則第32条の2に規定されています。当該条文では、印鑑証明書には、「請求に係る印鑑及び印鑑届出事項を記載した書面に証明文を付した上で、作成年月日及び職氏名を記載し、職印を押さなければならない」とされています。

 では、記載される印鑑届出事項とは何でしょうか。 
 これは、商業登記規則第9条に規定されています。会社の代表者(個人の場合)の印鑑届出事項は、「商号、本店、資格、氏名及び出生の年月日」とされています。
 会社法人等番号は規定されていません(法務局で準備している印鑑(改印)届の用紙には会社法人等番号の記載欄もありますが、法令上の記載事項ではなく、記載しなくても問題ありません)。

 よって、印鑑証明書に記載されている会社法人等番号は商業登記法や商業登記規則等の法令による記載事項ではないと思われます。

 実は、改正前も印鑑証明書には会社法人等番号が記載されていました。場所は、現在と異なり、印鑑証明書の右上でした。改正前の会社法人等番号は、商業登記等事務取扱手続準則に基づき付された番号でした。そこで、当時の商業登記等事務取扱手続準則を調べてみたのですが、印鑑証明書に会社法人等番号を記載する根拠を見つけることはできませんでした。

 10月5日の改正後、会社法人等番号の記載場所が変更になったのは改正の影響であることは間違いないと思いますが、その記載の根拠はどこにあるのか。

 また、自分の不勉強を反省させられることになりました。いずれ、根拠がわかったら、ご報告させていただこうと思います。


2015/11/18(水) 不動産登記令改正(2) 司法書士 立花 宏
 不動産登記令及び不動産登記規則等が一部改正され、11月2日に施行されております。

 前回、パブリックコメントの回答等からわかる範囲で情報をお伝えいたしました。
 その中で、会社法人等番号を提供することにより、商号変更等についての変更を証する情報としての登記事項証明書の提供は省略することはできないと思われると記載いたしました。会社法人等番号を提供することにより、商号変更等についての変更を証する情報の提供を省略可能とするという法令改正は行われなかったからです。
 なお、発出されるであろう通達等で、会社法人等番号を提供することにより、商号変更等のケースについても変更を証する情報の提供を省略することが可能という扱いになる可能性があるとも記載しておりました。 
 
 そして、平成27年10月23日法務省民二第512号「不動産登記令等の一部を改正する政令等の施行に伴う不動産登記事務等の取扱いについて(通達)」が発出されました。

 通達をみると、商号変更や合併による承継の場合等を証する情報について、会社法人等番号を提供したときは、これらの情報に代えることができるものとするとなっておりました。ある程度、その可能性を予想しておりましたが、まずは、取扱いがはっきりして安心いたしました。

 ところで、注意が必要な点があります。
 ひとつは、前回、記載しましたとおり、平成24年5月20日以前に管轄外の本店移転等をした場合は、会社法人等番号が変更となっておりましたので、省略できるのは、現在の会社法人等番号を提供したことにより確認できる範囲に限られるということです(※平成24年5月20日以前の厳密な意味については、登記研究780号 P.111「平成24年5月17日付け法務省民商第1258号法務局民事行政部長、地方法務局長宛て法務省民事局商事課長依命通知」をご確認ください)。

 そして、もうひとつは、同一登記所(申請を受ける登記所が申請人である法人を受けた登記所と同一であり、法務大臣が指定した登記所以外のものである場合をいう。)において、当該法人の承継又は変更を証する書面を省略できる取扱が廃止になったことです。これは、昭和38年12月17日付け民事甲第3237号通達により認められていた扱いですが、今回の通達で廃止されました。

 たとえば、平成22年に管轄内で本店移転し、平成23年に有限会社から株式会社に商号変更した会社があったとします。
 この会社は有限会社から株式会社に商号変更した際、会社法人等番号が変更になっています。そうすると、この会社が申請人となり、不動産登記の名義人としての住所と名称変更登記を行う場合、変更証明書としての履歴事項証明書(及び閉鎖事項証明書)の添付が必要となります。会社法人等番号を提供しても本店移転を証する閉鎖事項証明書の添付は省略できません。本店移転を証する閉鎖事項証明書に付されている会社法人等番号が異なるからです。 
これが先ほどの通達による影響です。

 申請する側にとっては、いままでより不便になったといえるのかもしれません。
 なぜ、同一登記所においての省略が認められなくなったのでしょうか。私は、もしかしたら、商業・法人登記事務の集中化の影響によるのではないかと想像しております。


2015/10/26(月) 不動産登記令改正 司法書士 立花 宏
 前回も触れましたが、不動産登記令及び不動産登記規則等が一部改正され、11月2日から施行されます。

 その改正による実務への影響が少しずつ、わかってきました。
たとえば、会社が不動産を所有しており、不動産の登記名義人となっている場合に、その会社が本店を移転していた場合です。
 この場合に、不動産の登記名義に記録されている会社の本店が移転前のものであるため、現在の本店に変更する場合、これまでは申請時に原則として住所証明情報(会社の登記事項証明書等)を提供する必要がありました。

 11月2日からも、原則として住所証明情報を提供する必要があることには変更はありませんが、会社法人等番号を提供することにより、住所証明情報の提供を省略することができることになります。
  
 では、次のケースではどうでしょう。会社法人等番号を提供することにより、変更を証する住所証明情報等を省略することができるでしょうか。
平成20年に仙台市内A地から同市内B地に本店移転し、その後、平成23年に仙台B地から山形C地に本店移転した。
平成25年に商号変更をした上で、仙台D地から山形E地に本店移転した。
    
 まず、,呂匹Δ任靴腓Α8什澆療亠名義上の住所はA地とします。
 これは、会社法人等番号を提供することにより変更を証する情報の提供を省略することはできません。
 というのは、平成24年5月20日以前は、異なる法務局管轄内に本店移転した場合は、会社法人等番号が変更されていました。会社法人等番号を提供することにより変更を証する書面の提供を省略することができるのは、現在の会社法人等番号で登記記録を確認可能なものに限られるという取扱のようです。現在の会社法人等番号で登記記録を確認できるのは、B地からC地への本店移転のみで、A地からB地への本店移転が確認できません。そうすると、会社法人等番号を提供したとしても、A地からB地への本店移転を証する登記事項証明書の提供を省略することができないという扱いになると思われます。

 では、△呂匹Δ任靴腓Α
 この場合は、会社法人等番号を提供することにより、D地からE地への本店移転を証する登記事項証明書の提供を省略することが可能です。
 現在の登記記録から、仙台D地から山形E地への本店移転を確認できるからです。

 しかし、商号変更についての変更を証する情報としての登記事項証明書の提供は省略することはできないと思われます。
 というのは、今回、会社法人等番号を提供することにより、商号変更等についての変更を証する情報の提供を省略可能とするという改正は行われていないようです。
 パブリックコメントの回答でも、商号変更等のケースについても、会社法人等番号を提供することにより変更証明書の提供を省略できるようにすべきという意見に対して、今後の検討の参考とするとの回答となっています。
 これから発出されるであろう通達等で、会社法人等番号を提供することにより、商号変更等のケースについても変更を証する情報の提供を省略することが可能という扱いになる可能性もあると思います。 
 
 今後の情報に注意していきたいと思います。


2015/09/30(水) 商業登記法及び商業登記規則改正 司法書士 立花 宏
 商業登記法及び商業登記規則が改正され、10月5日から施行されます。
 
 主な変更点は次の2点です。
 _饉卷/妖番号が登記簿に記録される(改正後の商業登記法第7条)。
 登記を申請する際に会社の登記事項証明書を添付しなければならない場合、申請書に会社法人等番号を記載した場合には、登記事項証明書の添付を省略することができる(改正後の商業登記法第19条の3及び改正後の商業登記規則第36条の3)。

 この改正により、具体的に登記実務にどのような影響があるでしょうか。

 たとえば吸収合併の登記を申請するとします。
 この場合に存続会社の登記の申請書には、原則として、消滅会社の登記事項証明書の添付が必要です(ただし、申請先の登記所の管轄区域内に消滅会社の本店がある場合を除く。商業登記法第80条第1項第6号)。
 
 しかし、申請書に消滅会社の会社法人等番号を記載すれば、消滅会社の登記事項証明書の添付を省略することができるのです。
 ちなみに、申請書に記載する場合の記載例は次のようなもののようです(法務省のホームページより)。
  (記載例) 登記事項証明書 添付省略
         (会社法人等番号 1111−11−111111)

 なお、これまでも、登記事項証明書のかわりに、申請書に、いわゆる照会番号を記載することで登記事項証明書の提出に代えることができました(商業登記規則第103条第2項)。
 この規則はそのまま維持されるようです。

 また、申請先の登記所の管轄区域内に消滅会社の本店がある場合には、もともと、登記事項証明書の添付は不要ですから、会社法人等番号の記載は不要です。

 ところで、会社法人等番号の導入に伴い、不動産登記令と不動産登記規則も改正されます。
 不動産登記令の一部改正は既に公布されておりましたが、不動産登記規則の一部改正も先日、公布されました。これらは、11月2日施行となります。
 これらの改正により、会社法人等番号を有する法人が不動産登記の申請をする場合、原則として、代表者の資格を証する情報は不要で、当該法人の会社法人等番号を提供することになります。
 ただし、会社法人等番号を提供を要する場合の例外として、代表者の資格を証する登記事項証明書を提供する場合には、会社法人等番号の提供を要しないこととされました。この登記事項証明書は作成後1月以内のものでなければなりません。

 規定をみる限りでは、商業登記の申請の場合と異なり、登記事項証明書(資格証明書)の添付を要する法人の本店が、申請先の登記所と同じ管轄区域内にあった場合でも、会社法人等番号の提供は省略できないということになるのかもしれません。

 また、たとえば、会社が不動産登記名義人である場合に、住所変更があった場合は、原則として、住所の変更を証する情報を提供しなければなりませんが、会社法人等番号を提供した場合は、住所変更を証する情報の提供は不要となります。
(規定上、原則と例外が逆になっています)

 その他、支配人等が登記を申請する場合等、いくつがの変更点があります。
 詳しくは、改正後の不動産登記令及び不動産登記規則をご覧いただければと存じます。


2015/08/28(金) 商業・法人登記事務の集中化  司法書士 立花 宏
 9月14日から、仙台法務局管内の塩釜支局、大河原支局、古川支局及び登米支局で取り扱っている商業・法人登記事務について、仙台法務局の法人登記部門で取り扱われることになります(以下、「集中化」という。)。なお、石巻支局、気仙沼支局及び名取出張所で取り扱われていた商業・法人登記事務については、すでに今年の6月1日より、仙台法務局法人登記部門で取り扱われております。
 9月14日からは、宮城県内における商業・法人登記事務は、すべて仙台法務局の法人登記部門で取り扱われることになります。
 9月12日は土曜日、9月13日は日曜日で、法務局は閉庁ですから、塩釜支局、大河原支局、古川支局及び登米支局は、実質的に、9月11日まで、商業・法人登記事務を取り扱うということになります。
   
 なお、商業・法人登記事務のすべてが仙台法務局の法人登記部門で取り扱われると解釈するのは適切でないかもしれません。
 たとえば、会社の履歴事項証明書はどの法務局でも取得することができるのはもちろんですが、それ以外にも、印鑑の提出や印鑑カードの交付等は、集中化前の管轄法務局に申請することができます。
 たとえば、集中化前の塩釜支局の管轄内の会社の代表者が印鑑を提出する場合は、塩釜支局に印鑑届を提出することができるのです。

 ただし、この扱いも注意が必要です。前記事例で塩釜支局に印鑑届を提出することができるのは、登記の申請と同時に提出されたもの以外のものとされているからです。
 会社の代表者(印鑑提出者)の交代に伴い、代表者の変更の登記を申請する場合には、印鑑届をする必要があります。
 この場合には、登記の申請書は仙台法務局法人登記部門に提出し、印鑑届は塩釜支局に提出するということはできません。もっとも、そのような面倒なことはする方はいらっしゃらないと思いますが。
 この場合は、登記の申請書と印鑑届は両方とも仙台法務局法人登記部門に提出することになります。印鑑届を提出する場合は、登記の申請と同時に行うケースが多いと思いますので、集中化前の管轄の法務局に、印鑑届を提出するケースはあまり多くはないかもしれません。

 また、たとえば、前記事例の会社の閉鎖登記簿謄本(コンピューター化前のもので、塩釜支局に保管されているとする)を取得する場合は、どちらの法務局に申請することになるでしょうか。
 この場合、塩釜支局に申請できるのはもちろん、仙台法務局でも申請できるようです。
 仙台法務局に申請した場合、仙台法務局は、塩釜支局から郵送やFAXで取り寄せ、謄本を作成するようです。

 なお、会社等の役員変更等の登記手続を、会社等自身でおこなっていらっしゃる場合もあると思います。それらの会社等が、誤って集中化前の管轄の塩釜支局に登記の申請書を提出してしまった場合はどうなるのでしょうか。
 この場合は、大雑把にいうと、塩釜支局が、申請人である会社等に、申請書及びその添付書面を仙台法務局法人登記部門に回付する旨を通知した上で、申請書及びその添付書面を書留郵便等で仙台法務局法人登記部門に送付し、仙台法務局法人登記部門において、登記手続を行うことになります。

 こういった取扱いの詳細については、平成24年4月27日民事局長通達「法務局及び地方法務局における商業・法人登記事務の集中化の実施後の商業・法人登記事務に関する取扱い要領の制定について」が発出されております。
 また、月刊登記情報611号(2012年10月号)(一般社団法人金融財政事情研究会)に解説も掲載されておりますので、ご参照いただければと存じます。


2015/07/03(金) 一般社団(財団)法人の外部役員の登記(2) 司法書士 立花 宏
 前回、一般社団(財団)法人において、責任限定契約を根拠とする外部理事及び外部監事の登記がされている場合に、改正前の規定によれば、外部理事又は外部監事の要件を満たさないこととなった場合には、外部理事又は外部監事である旨を抹消すべきか、という疑問について、記載してみました。

 今回は、前回に引き続いて、もう少し、この論点を掘り下げてみたいと思います。
 
 そもそも、責任限定契約を根拠とする外部理事及び外部監事の登記は、なぜ、なされていたのでしょうか。
 今回の法改正前に、ある一般社団(財団)法人の定款に、外部理事及び外部監事と責任限定契約を締結できる旨の定めがあり、外部理事や外部監事が存在した場合、その全員が登記されていたでしょうか。
 
 株式会社についての解説ですが、「責任限定契約を締結する社外取締役と締結しない社外取締役がいる場合、後者については社外取締役である旨を登記する必要はない」(注1)とされていました。「より正確には、会社が責任限定契約を締結しようとするときに登記すべきとされている」(注2)ということのようです。

 ということは、責任限定契約を根拠とする外部理事及び外部監事の登記は、責任限定契約を締結する対象である外部理事及び外部監事を公示するという意味があったといえるのでしょう。

 法改正後は、一般社団(財団)法人には、外部理事及び外部監事についての法律上の規定はなくなりました。これについての経過措置もありません。よって、法改正前に外部理事として登記されていた理事が、法改正後に外部理事の要件を満たさなくなる、ということは生じないと思われます。

 ところで、法改正前に責任限定契約を根拠に外部理事として登記されていた理事が、法改正後、その任期中に業務執行理事となった場合はどうでしょうか。

 この理事を、経過措置があるとはいえ、外部理事として登記したままでいいといえるでしょうか。業務執行理事となったことにより、責任限定契約を締結できる理事ではなくなります。それにもかかわらず、責任限定契約を根拠とする外部理事の登記をそのままにするのは、適切とはいえないのではないかと思います。
 
 法改正前に外部理事であった理事が、法改正後に外部理事でなくなる、ということは生じないように思います。しかし、責任限定契約を締結できる対象でなくなったのであれば、経過措置があるとはいえ、やはり、責任限定契約を根拠とする外部理事という登記は抹消するべきだと思います。

 前回も記載しましたが、この論点を解説している資料を見つけることができていません。
 お恥ずかしい限りですが、一般社団(財団)法人の責任限定契約関係の登記の経験がなく、実務がどのように運用されているのか、把握できておりません。
 
 実務の運用の情報を得次第、あらためて、ご報告したいと思います。


(注1)「論点解説 新・会社法」(商事法務)P.298
(注2)商業登記ハンドブック第2版(商事法務)P.59


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